これまでのところ、小児の新型コロナウイルス感染症のほとんどは軽症ですが、感染者数の増加とともに中等症や重症例も確認されるようになっており、とくに基礎疾患(慢性呼吸器疾患、難治性喘息、先天性心疾患、高度肥満、濃厚な治療や透析を要する慢性腎臓病、脳性麻痺、難治性てんかん、炎症性腸疾患など)を有する場合は重症化リスクが高いとされています。また、たとえ軽症であっても他者への感染リスクは増加し家族(濃厚接触者)を含めて長期間の行動制限が必要になるなど生活への影響はかなり大きなものになっている現状を鑑みると、5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は意義があると日本小児科学会は見解を示しています。ただし、現在流行しているオミクロン株に対するワクチンの効果としては、成人では発症予防および重症化予防効果が確認されていますが(→3回目接種が進められています)、小児ではまだ十分なデータが得られていません。副反応については12歳以上の方と同様、接種部位の痛みや倦怠感、頭痛、発熱等、様々な症状が確認されていますが、殆どが軽度又は中等度であり回復していること、現時点で得られている情報からは、安全性に重大な懸念は認められていないと判断されています。このような現状を鑑みると、下記のようなお子さまはワクチンを接種するメリットがあるのではないかと考えられます。
【ワクチンを接種するメリットがあるお子さま】
➀基礎疾患をお持ちのお子さま
②基礎疾患をお持ちの方や高齢者と同居しているお子さま
➂発症や重症化のリスクを少しでも下げたいと考えている場合
➃海外で長期滞在の予定があるお子さま(現地の必要性に応じて)
5~11歳の新型コロナワクチン接種は、あくまで任意となります。保護者の方がメリットとデメリットをよくお考えの上で決定していただきたいと思います。下記の参考資料もご活用ください。
(参考資料)
新型コロナワクチン接種についてのお知らせ 5歳から11歳のお子様と保護者の方へ (厚労省)
新型コロナワクチン予防接種についての説明書 (5~11歳接種用) ファイザー社ワクチン用 2022.2
5~11 歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方 (日本小児科学会) 2022.1.19